A-03 148b 善意の第三者

A−03 148b 善意の第三者


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(22:00)

島中央部・耕作地帯

「椎名椎名椎名椎名椎名椎名椎名椎名」
『名前を呼ぶのは一度だけで十分ですが』
「センセ、(ぎゅいいいいい)
 あひゃっ、い、今、(ぶんっ!)
 ナ、ナミに追っかけられとるがよ!!(ひたひたひた)」
『知っています。参加者のモニタは私の任務ですので』
「センセ、ナミに『参加者じゃないき殺しても意味ば無い』って説明したがよ!!
 でも、全然聞き入れてくれな……(ざむ!)
 むきャらひゃカひゃアぁ!!
 い、痛たたタタタタタタタタタタタタタ
 切られたがよ、センセ背中をザクリとやられたがよ!!」
『ナミは21:40に更なる能力制限を自らに施しています。
 現在、ナミの聴覚は働いていません。説得は無意味です』
「状況説明はええがよ!!(じゃきん)
 とっとと助けとおせっ!!(ぎぎぎぎぎ)」
『私が現在与えられている仕事は、参加者のモニタリング及び刺客に情報を与えること。
 この二点のみです。救助はその中に含まれません。
 どうしても必要ならば、まずしかるべき手続きを経てザドゥ殿の許可を……』
「なんちゅーーーー仲間甲斐のない女がか!?(ぐぉんぐぉん)
 臨機応変にちくと融通ば…… (ざくり)
 あば?(ぎゅるぎゅるぎゅる)
 あきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ(ぶじゅるぶじゅるぶじゅるぶじゅる)」
『長谷川殿。長谷川殿。応答を求めます、長谷川殿』
「(ぶじゅるぶじゅるぶじゅるぶじゅる……)」
『……死にましたか。
 復活したらその旨報告してください。今回の通信はこれにて終了します。
 シーキュー』



(22:10)

 あー、酷い目にあったが。
 センセ、チェーンソーに右の肺を貫かれたがよ。
 他にも、いっぱいいっぱい切りつけられたがよ。
 相手がお薬の効かないロボットでは、センセ、手も足も出なかったがよ。
 死んでもうたがよ。
 それにしても椎名は冷たい女やき。
 センセ、情けなくて涙がちょちょぎれてもうたがよ。

 でも、いいがいいが。
 このくらいの死に方なら、なんちゃーがやなく復活できるき。
 センセの体にいっぱい移植した変性ガン細胞が、壊れた組織を埋めるがよ。
 へひひひひひひひひひひひひひひひひひ、ひ。
 ほれ。
 もう肺の穴が塞がっちゅう。

 あ、誰か近づいてきちゅうよ?
 誰…… 
 !!
 アインの嬢ちゃん?
 まままま、まずいがまずいが!!
 センセ殺され…… ちゅうな、既に。
 じゃ、焦る必要もないきね。


えひゃああぁぁぁっ!!
 ななな、なんちゅうおっそろしい顔して睨むがか?
 センセ生きてたら失禁しちゅうところだが。
 いや、ホント、ナミに殺されててよかったがよ。

 ああ、死亡確認取るがね?
 くけけけけけ。けひゃひゃひゃひゃひゃ。
 そんな、あっちこっちを弄繰りまわさんとおせ。こそばゆくて叶わんき。
 そんなに疑ぐらんでも、センセはちゃんと死んどるがよ?

 ……って、何で懐まさぐってるが?
 センセのお薬に興味あるがか?
 ほいたら、復活したら、あんなお薬やこんなお薬やそおぉんなお薬を
 嬢ちゃんで臨床試験しちゃるき、楽しみに待っとおせ。
 へきききき。センセも今から楽しみじゃき。

 あら、ホントにセンセのお薬が目当てだったが?
 そんな真剣にアンプルに目を通して……
 あ?
 今、にやってしたがか?
 なんか凄く嫌な笑顔ばしてるきね。
 センセが新しいお薬を思いついたときの顔に似てるがよ。
 な、何を見つけたがか?
 どのお薬を注射器に注いちゅう?

 ああぁ、こっち見ちゅう、こっち見ちゅう!!
 嬢ちゃん、明らかにセンセにお注射する気きね。
 ぐずぐずに腐るお薬がか?
 かさかさに乾燥させるお薬がか?
 セ、センセ、死体を弄ぶのは倫理的にどうかと思うがよ。
 止めとおせ?
 センセ、復活出来なくなるがよ?
 そんなわざわざ、よりによって心臓近くにぷっすし刺さんでも……
 ああ、くる、来る、クル、きた、来た、キターーーーーーーー!!!!!!


どくん。

 ……ひょ?

どくん。

 ……はれ?

どくん、どくん、どくん、どくん……

 これって、心臓の鼓動がか?
 センセ、復活したがか?
 じゃ、嬢ちゃんが打ったのは「強制心拍液」?
 どういうことがか?
 嬢ちゃん、センセを利用してなんかやらかすつもりがか?
 うーーーむ……
 それはそれで楽しそうって気がしないでもなくもないが。

「ぐ、ぐぐぐっどもーにんぐ、アインの嬢ちゃん。
 嬢ちゃんに狸寝入りは通じんきね。センセ、素直に起きたがよ」
「長谷川、あなたが復活してくれて嬉しいわ」
「あーーきゃっはっはっは!! へけけけけ!!
 嬢ちゃんに喜んで貰えて、センセも嬉しいがよ」
「だって、生きてないと殺せないもの」

―――ざしゅっ!!


 な、なんちゃ!?
 センセの喉、ぱっくり裂けちゅう?
 血がぶしゅぶしゅ飛び散っちゅう?
 センセ、即死?

 ……なんちゃーがやない。
 アインの嬢ちゃんはセンセを自分の手で殺すために、わざわざ蘇生させたがか?
 ホント、おっそろしい性格しちゅうな。
 でもセンセは、嬢ちゃんのそういうところ、大好きがよ。

 ずぶ……

 こ、今度は心臓にメスを突き立てちゅう?

 ぐり、ぐり……

 その上ほじくり回す?
 手を突っ込む?
 って、アインの嬢ちゃん、センセの心臓抜き取るつもりがか?
 そこまでやるがか?
 センセはそんなに信用できんがか?
 そんなことされたら、センセ……

 ぶちり。

「遙…… 許してなんてとても言えないけれど。
 こんなことで喜ぶあなたじゃないと思うけれど。
 仇は、討ったわ」



(23:00)

 ふへーーーー。
 今度ばかりは本当ヤバかったがよ。
 アインの嬢ちゃんの徹底っぷりには、センセ冷や汗かいたがよ。
 じゃけど、センセがサブの心臓持っちゅうとは、嬢ちゃんでも解らんきね。

 それにしても退屈きね。
 こんなに丁寧に殺されては、流石のセンセもそう簡単には復活できんがで、
 まだ2時間以上時間こうして死んでないといかんがよ。

「人が倒れてるよ!!」
「残念だけど、もう……手遅れです」

 お、高町と仁村が来たなが?
 センセ、XX障害にはぎっちり興味あるがで、次のターゲットはコイツと心に決めてたがよ。

「こんなに沢山の怪我をして、かわいそうに……」
「せめて安らかに眠れるよう、手厚く葬ってあげよう」
「うん」

 な、なに?
 今なんておっしゃいましたがか、ご両人?
 手厚く葬る…… 
 いとさんらぁ、何で土ばほじくり返すがか?
 まさか、センセを、ま、ま、ママママ埋葬する気がか?
 それはいかんが!!
 ものすごぅヤバいが!!
 ああ…… もういいきに、そこらでやめとおせ。
 そんくらいの深さで勘弁してほしいが。
 まだ掘るがか?
 さらに掘るがか?
 そんなに深いと、センセ復活しても地上に出れんがよ?

 うわ、穴に入れるのはよしとおせ!!
 こんな窮屈な体育座りみたいなカッコさせられちゃ、ギッチギチで体が動かんがよ。
 もういいきに。
 もういいきに、土なんて被せんとおせ?
 うわっぷ。
 く、口に入って来ちまったがよ。
 ざっくし裂けた喉からも土が入り込んでくるがよ。
 こ、こ、これじゃあ、復活してもすぐ窒息死…… がか?
 復活しては苦しんで死ぬがか?
 ホントに死ぬまで、死につづけるがか?


 あ、
 あひー!!
 あひーあひーひあああああああ!!
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ
 きゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ






「おじさんの魂が天国に行けますように」
「どうぞ安らかにお眠りください」
 

【主催者 素敵医師:死亡 】

―――――――――主催者サイド、残り 4



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