212 接戦
212 接戦
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(二日目 PM2:55 病院・二階)
ベッドに腰掛けている椎名智機。智機の足元で倒れている高町恭也。
智機は右足で、恭也の右足を踏み付けながら言った。
「既に反抗する気も無くなったか?」
「・・・・・・・」
「ふむ…賢明だが、こうなるとつまらないな」
数分前に再びスタンガンで恭也を沈黙させてから、恭也は黙ったままだ。
「ところで君は仁村知佳の居場所を知っているか?」
「仁村さん…仁村さんがどうした?」
「まだ元気だな。現在、彼女の居場所が解らなくてな、君は何か知ってないか?」
「知らない……」
(知っていても教えるものか……)
「まだ反抗する気が残っているようだな。まあいい、今頃下の階では3人の処刑が
完了しているだろう。君が優勝するには仁村知佳を含めた6人を始末しなくては
ならない。ゆっくり身体を休めるといい」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「……心拍数と体温の上昇、そしてその眼。まだ私と戦うつもりか?」
恭也は怒りを含んだ眼差しで智機を睨みつけて、智機の足を払いのけてから
上半身を起こし、右手で智機に殴りかかろうとする。
「フン…」智機は鼻で笑い、右手で受け止めようとする。
恭也は拳を寸前で止めると、瞬時に左手に隠し持った包丁で智機の首筋に斬りつけ
た。恭也のパンチはフェイントだった。しかし…
「道化が…」
斬りつけた包丁は智機の首を切断するには遠く、表面に薄い傷を作ったにすぎなかっ
た。
「・・・・・・!!」
「しばらく寝ろ」智機の右手が放電した。
(二日目 PM2:56 病院・資料室)
病院の1階。沢山のファイルが収められている資料室に紗霧とユリ―シャは
いた。
入り口は本棚で蓋をしてある。
(ああいう存在まで関わっているとは…私は本当に分の悪い賭けに乗ったの
かもしれません)
まだ顔を青ざめさせて紗霧は思索する。ああいう存在とは透子の事である。
(あの場はまひるさんに任せるしか無いでしょう。彼女が戦えるのは予想外
でしたが)
智機が襲撃してきた時、まひるは「ここは任せろ」みたいな仕草をしていた様に
紗霧は感じた。
(私とあの子は首輪が外れてますし、隙を見て病院を脱出しましょう)
紗霧の側にいる、平手打ちで無理やり起こされたユリ―シャを見て、紗霧は
心中で呟く。
「…………」紗霧は病院内に残っているまひると恭也の事を考える。
(あの2人には最悪、ここで犠牲になってもらうしかないですね。これ以上、
分の悪い賭けはしたくは無いですし。選択肢が一つ減ってしまうかもしれません
けどね…)
「・・・・・・・・・」
紗霧はしばし沈黙すると、うつらうつら眠りそうになっているユリ―シャの
腕をつかむ。
「え?あな…たは…?」
「隙を見てここから抜け出します。今は起きていて下さい」
「え?え……」
困惑気味で寝ぼけているユリ―シャは、状況をまるで掴めていない。
ちなみに彼女の両頬は紗霧に起こされた際のビンタで赤く腫れている。
突如、資料室の近くで走るような足音が聞こえて、資料室のドアを叩く音がした。
「!」
「紗霧さーん、開けてー!」
「ま、まひるさん!」
と声を出して「しまった」と紗霧は心中で呟いた。まひるの声色からして、
まだ窮地を脱してないようだった。こちらまで危険が及んでしまう。だが、
こうなってしまっては仕方がないと、紗霧は本棚を退かした。
「大変だよ!あいつら…」
「どうかしたんですか?それに襲撃者は複数だったんですか?」と、本棚を脚で
動かしてドアに蓋をしながら、やや不機嫌そうに紗霧は答える。
「あいつら、ロボットなんだよ。バズーカやライフル(勘違い、実はハンド
キャノン)を持って来てる」
「・・・・・・・・・・・・・・・。貴女の見間違いじゃないんですか?」
「ほ、本当だって!さっきいた病室に残骸があるんだってば」
「・・・・・・・・・。嘘では…無いようですね…」
と、紗霧は言うや突如、頭を抱え始めた。
「どうしたの紗霧さん?」
「・・・・・・・・・・・・」
(幽霊だけではなくて、ロボットまでいるなんて…私にどうしろというのでしょ
う…)
「と、とにかく、紗霧さんとお姫さん。早く避難して」
「幽霊がいるのでは…何処行っても無駄ですよ…」
「幽霊って?」
「さっきの亜麻色の髪をした女性に決まってるじゃないですかぁ…」
紗霧はそっぽを向いて、震えながら言った。
「あのー紗霧さん?あの人、もうここにはいないんだけど」
「・・・・・・・・。え?」
「スンッ」と鼻息をたてて、紗霧はまひるの方を振り向く。
「それにあの人、幽霊じゃないよ。生き物の気配がしてたし」
「幽霊ではないんですね?」
「うん」
その返事とともに、紗霧は背筋を伸ばしいつもの落ち着いた調子で、まひるに
質問をした。
「ではロボットは全部で何体いましたか?」
「え…えと、全部で5体…じゃないや、今は4体だよ」
「5体ではなくて4体。もしかして、一体は貴女が撃破したんですね?」
「うん、まあ一応は…」
紗霧は手を顎にやると、思索し始める。
(紗霧さん、変わり身早いなあ)
まひるが紗霧の変化に少し驚く。そして、二十秒たった後
「まずは貴女の首輪を解除します」
紗霧はユリーシャの方を向いて言った。
「お姫さん、寝てるよ」
ユリーシャは座りながら、寝息を立てている。
「起こします」
「さ、紗霧さん。その金属バットは何?」
「この子を起こすアイテムです」
「揺さぶって起こせばいいと思う」
「時間の無駄です」
紗霧は金属バットの柄の部分を、ユリーシャの頭のてっぺんに振り下ろそうとする。
「何故、止めるんです?」
「当たり前でしょ!お姫さん、死んじゃうって」
「何を奇な事を?私の友人はこれくらいでは気絶さえしませんでしたよ」
「他にもっとやり方があるでしょっ!」
まひるはズカズカとユリーシャの側まで歩み寄って、顔を覗き込む。
「揺さぶったぐらいでは起きませんよ」
「・・・・・・・」
まひるは背に生えている翼の羽根を一枚抜くと、手にとった。
そして、その羽根でユリーシャの右耳をいじり始める。
「………うっ、くっ、ひゃぁぁぁぁぁぁ!!」
背筋が凍るような感触に、ユリーシャは悲鳴をあげて目を覚ました。
「ほら、ね」
「・・・・・・・・・」
「だ、誰ですっ!私の耳に羽根をいれたのはっ!」
「この子です!そして、金属バットを振り下ろそうとしてました!」
と、何か面白くなかったのであろう紗霧が、まひるの方を指差す。
「金属バットはあたしの所為じゃなーい!って罪をなすりつけるなあ」
「何をとぼけた事を」
「う〜、さぎり〜」
「呼び捨てですか?貴女も随分と偉そうに…」
「あの〜、あなた方は一体…」
忘れ去られそうなユリーシャが口喧嘩しそうな2人に声を掛ける。
「はっ!?ユリーシャさん、私の名は月夜御名紗霧といいます。そしてこの子が…」
「まひるだよ♪よろしくね、お姫さん」
「え…天使さん…?ランス様は?」
「話は後です。一刻を争います、早くこの子の首輪を解除してください」
紗霧はユリーシャに解除装置を渡す。
「わ、解りました。解除します」
と、まひるの首輪に装置を突きつけて、ボタンを押した。
まひるの首輪が「キュッ」と絞まった。
「ぐえええええええーー、く、くるちい!!」
「何をしてるんですか!!」
「す、す、すみません。間違えました!」
半べそをかきながら、再び装置のスイッチを押す。
首輪の輪が大きくなり、まひるの首よりも大分太くなった。
「解除されたんですか?」
「ごめ、んなさい…また間違えたみたいです…」
ジト眼で見つめる紗霧に対して、身の危険を感じながらユリーシャは答えた。
「今度こそは…」
突如、ドアを強く叩く音が聞こえた。
「!」
その音と同時にまひるがドアの方へダッシュする。本棚とドアにまひるが体当たりを
したのと、向こう側の智機がドアを蹴破ろうとしたのは同時だった。
本棚と共に、倒れたのは智機だった。まひるはすぐに後ろへ跳んだ。
マシンガンを乱射する音が廊下に響く。まひるの翼は振動を始めている。
ドアと本棚の下敷きとなった智機が起き上がろうとする。
振動音を聞いて2体の智機は動きを止める。
(この音は…公園での…)と紗霧が心中で呟く。
廊下にいた智機が突然走り出し、開いたドアの前に立つ。
「!」
智機がマシンガンを構えたのと同時に、まひるは衝撃波を放った。
突風が巻き起こり、智機は吹き飛ばされ壁に激突する。
まひるはその智機に飛びかかった。爪は智機の顔を吹き飛ばすはずだった。
――まひるが本来の姿に戻っていたのなら。
まひるの一撃は空振りに終わり、その隙に智機は腕に内蔵したスタンガンを
まひるの首に押し付けた。
「くあぁぁっ!」 「「!!」」
まひるは感電して地面に落ちた。 (あたし、人の姿をとってたんだった)
智機は彼の首を掴み上げて吊るす。智機の手は彼の首を締め始めた。
智機の口元に冷たい笑みが浮かんだ。
「君達もここまでだな」
まひるの首を締め付けながら、サディスティックな笑みを浮かべて紗霧達に言う。
「……………」
「しかし、助からなくなった訳ではない」
本棚の下敷きになった智機が立ち上がって言った。
「広場まひるを除く病院内の3人」
「今から解除装置をこちらに渡し、病院内で最後の1人になるまで殺し合えば、
私はここを去ろう」
(3人?と、言う事は高町さんはまだ無事という事ですね)
硬い表情で智機を見ながら、紗霧は思索した。
「こ、殺し合い…」ユリ―シャは青い顔をして、紗霧を見つめる。
「………」紗霧は、背中から金属バットを抜く。
「ひっ……」
ユリ―シャは悲鳴をあげて、周りを見回す。助けてくれる人も、手持ちの道具も
持っていないことに気づく。
「………」紗霧は金属バットを持ったまま身動き一つしない。
それがユリ―シャの不安を増幅させる。
(私…殺されるの?…殺されるの?そ、そんな…)
ユリ―シャの身体が恐怖で震える。
「時間稼ぎは無駄だぞ、月夜御名紗霧」
(見破られていましたか)
紗霧は心中で舌打ちする。
「くぬぬ……」
まひるは顔色を変えることなく、智機に抵抗していた。
「ん?しぶといな…」まひるの首を締め付けていた智機が呆れたように呟く。
智機はまひるを吊るし上げている手とは別の手で、まひるの首輪を掴む。
「さあ、公開処刑の始まりだ」智機は首輪を破壊しようと力を入れた。
資料室に何かを引き裂いた音が響く。
ぽとり、ぽとりと地面に落ちる。首輪を破壊しようとした智機の手の指が。
そしてバキキィ、という音がした。まひるの首を締め付けていた智機の指は
5本とも逆の方向へと捻じ曲がっていた。
「な、んだ…と…私の指を引きちぎっただと…?」
まひるは地面に着地し、そして全力で智機に体当たりした。
智機はスタンガンを使おうとするが間に合わず、壁に激突して、そのまま壁を
ぶち破って外へと放り出された。仰向けに転がり、智機の腹部が爆発した。
智機は腹に風穴を空けて沈黙した。
もう一体の智機はまひるに向けてショットガンを構えた。が、紗霧が投げた金属バット
が智機に命中し、動きが止まる。まひるは方向転換して体当たりを喰らわした。
智機はバランスを失って倒れそうになる。
慌てて懐からスペツナズナイフを取り出し、まひるに向けて発射しようとする。
突然、まひるの翼が変形してナイフを持った手を掴む。
「何ッ?」
まひるの頭突きが、智機の顎を直撃する。智機が態勢を整えようとする前に
智機の頭を掴み上げて押し倒す。まひるはかかとで智機の胴体に蹴りを
数回入れると、もう一方の手で智機の首を掴んで、力を込めた。
そのまま、まひるは智機を引きずって走り出し、両手で持ち上げて思い切り天井に
叩き付けた。智機の上半身から爆発音が数回起こって、智機はそのまま停止した。
(二日目 PM2:57 病院・二階)
智機の右手が放電しながら、恭也に触れようとする。
が、そのままの格好で智機の動きは止まった。
「何だ?」
智機の身体はいつのまにか鋼糸でからめ取られていた。
「いつの間に……がっ!」
智機の口内に包丁の切っ先が突き立てられた。
(そうか…さっきのパンチはフェイントという事か)
「力がほとんど出せなくても、糸を操るくらいの事は出来るさ…」
恭也は小太刀を拾い上げて構える。
「・・・・・・」
智機は侮蔑の言葉を投げかけようとするが、声をうまく出せない。
「徹!」
その掛け声を合図に、小太刀は智機の右目から頭部を貫いた。小さな爆発音。
その衝撃で包丁が砕ける。小太刀は破損しなかった。
「・・・・・・・・・・」
恭也は智機が行動不能になったのを確認すると、息をついた。
(二日目 PM3:06 病院)
「まひるさん…戦えたんですね」
「うん…まあ、ね」 紗霧の問いにまひるはこう答えた。
「どうして、隠してたんですか?」
「いやあ、ちょっと色々とややこしくてさ…」
「…………」
(どう説明すればいいんだろ)
「まあ、説明は後でいいでしょう」
「首輪解除しますね」 ユリ―シャの解除装置が起動し、まひるの首輪が外れた。
「おおおっ、外れた、外れたー」 嬉しそうに首に手をやる、まひる。
「これで、遠慮なくお喋りができる」
「貴女は別に遠慮してないでしょう?」
「それはそれ。これはこれって事で、恭也さんのところに行こう!」
「待って下さい」 「?」
「あのロボットと戦う前に、貴女に言いたいことがあります」
紗霧はまひるに対し、智機戦におけるアドバイスをした。
「自爆って……えー気をつけます」と言った直後、まひるは部屋を出た。
しばしの沈黙。
「あのー…月夜…さん?」
「紗霧と呼んでください」
「紗霧さん。さっきの助言って…」 ためらいがちにユリ―シャは言った。
「言うほど簡単に出来るとは思えないのですが?」
「できませんよ」
「では、どうして?」
「ああいうのが敵襲してくる事自体が予想外ですから。まひるさんに任せるしか」
「・・・・・・・・」
(今日、出会ったばかりの他人を信用しなければならないなんて、私も余裕が
無くなったものです) 紗霧は壁にもたれながら嘆息した。
(二日目 PM3:10 病院)
まひるが金属バットを振り上げる。壁に穴が空く。その穴の空いた壁に蹴りを入れ
る。人1人分通れる穴が空く。その穴にまひるは入っていく。それをすでに十回繰り
返している。智機が散弾銃を発射する。その先にはまひるがいたが、既に穴に逃げ込
んでいて当たらない。
「このままでは埒があかん!」
苛立ちを込めた声で智機は言う。
廊下と廊下の間を瓦礫でふさがれて足止めを喰らっていた智機二体は、ようやく攻撃
を再開したものの、まひるに翻弄されていた。攻撃射程内に現れたと思いきや、攻撃
する頃にはドアや空けた穴に逃げ込まれ。銃弾を補充する時や、バズーカを使用しよ
うとすると不意打ちを仕掛けてきては、また離れる。それを繰り返されてすでに2体
の智機にはまひるによってあちこちに凹みができている。
(これ以上、攻撃を喰らうのはマズイ)
智機はバズーカを構えつつ、いつでも懐から武器を取り出せる態勢を整える。
まひるが穴から姿を現す。智機は懐から閃光弾を複数取り出すと、まひるがいる方向
へと投げつけた。眩しい閃光があたりを包む。
(これで終わりだ!)
もう一体の智機がバズーカを持って発射する。まひるがいるであろう病室のすぐ側で
爆発が起こる。(熱波によってダメージを受けているはずだ)
散弾銃を持った智機を前に、部屋の方に移動する。熱波で焼かれた部屋には誰もいな
かった。(奴め、逃げたか)そう思った瞬間、天井からまひるが降りてきて、智機を
踏み倒す。もう一体の智機はバズーカを持っていたが、狭くて使えない。
まひるは思いっきり、地団太を踏むと、もう一体の智機の方へ向かおうとする。智機
は懐に手をやる仕草をする。まひるは部屋から去った。
まひるに踏まれた智機は、まひるの足跡の凹みを何箇所も作っていた。その智機は痙
攣したように身体を震わせると、爆発した。
「・・・・・・・!」
(バカな!こんな筈では!)
病院内に潜伏させていたレプリカ6体はいわば先発隊である。しかし、状況の
変化に伴い、できうる限りの強化をしている。アズライト・しおり戦までの戦闘
データ―を移植して、以前より運動性を上げており、武装もかなり強力にしてある。
内、2体にはとっておきの「仕掛け」がしてあり。たとえ、しおりが相手でも
油断さえしなければ、始末できる自信があった。だが、毒ガスを内蔵していた
ボディはついさっきまひるによって破壊され、生物がいない部屋の中で
その惨めな姿をさらしている。
(奴は一体、何者なんだ!)
スピードや防御力が特別高いわけでもない。ザドゥのような技能保持者で
あるそぶりもない。超能力を使って回避している様子も見られない。ただ、
こちらの行動を先読みされたように先手を取られ続けている。
(仕方が無い。このボディで奴を道連れにする)
智機は部屋を出ると、自爆装置をいつでも作動できるようにスイッチを入れた。
(このボディの体内には強酸と極小の金属球が無数内蔵している。たとえ、
仁村知佳やしおりであろうと喰らえば終わりだ)
智機はまひるを索敵する。遠くで何かを砕く音が聞こえる。
智機は音の発生源に向かった。
二階へ上がる階段の途中、壁があるべき所には大穴が開いていた。がまひるの
姿は無かった。
「・・・・・・・・・・・」
(逃げられたか?)
風穴の前には瓦礫が沢山積み重ねられている。
まひるへの敵意を剥き出しにして、階段を上がり始める智機。その時、勝負は
着いた。
「ごっ!!」
智機の顔に大きな瓦礫が命中する。転がり落ちる智機。立ち上がろうとするが、
次々と瓦礫が振ってくる。
「な、なにーっ!」
瓦礫を次々とぶつけられ、智機の疲弊したボディが悲鳴を上げる。
瓦礫に潜んでいて、瓦礫を投げつけていたのはまひるだった。
「き、貴様!」慌てて智機は自爆装置を起動させる。
まひるは既に外へ飛び降りていた。
「・・・・・!お、おのれーーっ!!」
智機は爆発した。強酸は階段付近を刺激臭で満たし、無数の金属球は
あちこちに穴を空けたが、生き物に命中する事は無かったのだった。
(二日目 PM3:15 病院・二階)
「恭也さんが無事で良かったよ」
「広場さんも無事で何よりだ」
二階で恭也とまひるは話をしていた。
正直、智機が襲撃してきた時点で、まひるも恭也の事で強い不安に駆られていたが、
無事だと知って、大喜びである。
「広場さん、戦えたのか」
「まあね。でも、詳しく聞くのは後にして長くなるからさ」
「ああ、わかった」
(二日目PM3:17 病院・一階)
「無理と思います」
ユリ―シャが紗霧の作戦にそう返答する。
「でしょうね。ロボット相手ですからね。まひるさんがそれをできるのを期待するし
かありません。ああいうロボットがまだいるでしょうし」
「まだ、いるんですか?」
「あのロボット達を倒せないようでは、私達に命は無いですよ」
「・・・・・・・・・」
(まひるさんがあのロボットを全滅させることができれば、プラスマイナスゼロ。
私の計画は大丈夫です)
紗霧は不敵な笑みを浮かべたのだった。
――4分後一階に下りてきたまひると恭也は紗霧らと対面し、無事に恭也の首輪は解
除されたのであった。
【広場まひる】
【所持品:せんべいがたくさん入った袋、代えの服数着】 【現在地:病院】
【スタンス:参加者救出、争いをなるべく避ける】
【備考:身体能力上昇、怪力、超嗅覚、鋭敏感覚、片翼、衝撃波(練習中)使用】
【月夜御名紗霧】
【所持品:バッテリー切れ寸前の対人レーダー、解除装置 COLT.45 M1911A1 ccd
残弾2発(拾った)と予備マガジン(7発×2、 智機が所有していた)薬品数種、
メス二本、他爆装置の指輪二個金属バットと文房具とノート(雑貨屋で入手)
他の所持品あり】 【現在地:病院】
【スタンス:反抗者を増やし主催者へぶつける。 モノの確保】
【備考:各地で得た道具を複数所持】
【高町恭也】
【所持品:小太刀、救急セット、鋼糸】 【現在地:病院】
【スタンス:主催者打倒、知佳の捜索と説得】
【備考:失血で疲労:中、右わき腹から中央まで裂傷あり。神速使用不可。
痛み止めの薬品?を服用】
【ユリ―シャ】
【所持品:ボウガン】 【現在地:病院】
【スタンス:現時点では病院組に協力。後はランス次第】
【病院内でのアイテム】
斧、小麦粉、白チョーク多数 (スペツナズナイフ、デザートイーグル50AE
(弾数4発、ハンドキャノンで
反動が凄まじい)携帯用バズーカ(弾数1発)を
(いずれも智機の所持品) 新たに入手