016 探し物はなんですか? そうですか武器ですか

016 探し物はなんですか? そうですか武器ですか


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(01:45)

皮肉な物だな。
あの頃と違い発作の起こるまでの間隔が長くなってきている。
まあ、爛れた不摂生な生活から規則正しい生活を送るようになればそれも
当然かもしれないな。
もっともそれが死刑を待つ拘置所の中で健康になったというのは喜劇としか言いようがないがな。

あれから紳一は海岸沿いを時計回り方向(西側方向)に向かって歩いている。
いつまでも「必勝」はちまきを手に笑っていることも出来ない。
砂浜に散らばった支給品は再びバッグに戻されている。
ただ、「必勝」はちまきは頭に巻いていた。
最初は武器としての効果はないといえど捨てる理由もなく仕方なく巻いているだけだが、
今では上手くいけば遭遇した相手を笑わせ警戒心を解くぐらいの効果は期待できるかもしれないと
考えてだ。
しかし、武器がないのは痛い。
だからこそ紳一は武器になりそうな物を求めて移動しているのだ。


(そういえばバスジャックの時木戸はライフル、直人は刀を持っていたな。 せめて
刀でも手に入れられたらいいが)
そういった事を考えている内に視界には幾つかの人工物が入ってきた。




(02:00)

たどり着いた場所は漁港だった。
しかし、港にボートはなくどことなく寂れた様な雰囲気が漂っている。
港には興味も示さず紳一は其の一角にある漁具倉庫(倉庫と言うよりは大きな納屋)に向かった。
幸い倉庫の扉には鍵はかかっていなかった。
倉庫に侵入した紳一は武器になりそうな物を探し始める。
しばらくして一言ポツリと
「駄目か」
期待はしていなかったが目当ての物がなかったというのは残念だ。
立ち去ろうとした時紳一の足に何かが当たる。
「?」
それを拾い上げてみるとそれは40p程の長さの筒だった。
筒には「救難信号発煙筒」と書かれている。
「まあ、持っていても損はないな」
紳一は発煙筒をバッグにしまうとき苦笑し思った。

部下に恵まれても武器には恵まれんものだな、と。



【現在位置:砂浜から海岸沿いに西へ行った港の漁具倉庫】
【スタンス:本人やる気。今は武器探し】
【能力制限:持病持ち(要常備薬)】




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