017 バンカラ夜叉姫・徘徊編
017 バンカラ夜叉姫・徘徊編
前の話へ<< 000話〜049話へ >>次の話へ
下へ 第一回放送までへ
(一日目 3:12)
ほら、見てみなよ。
月夜御名沙霧が深夜の廃村を、軽い足取りで散策しているよ。
え、そんなヤツ知らないって?
じゃあ、『バンカラ夜叉姫』って言えば分かるかな?
あの鋼鉄番長の懐刀にして、希代の軍師にして…悪魔のような毒舌家の、あの女だよ。
そんな彼女がさ。
死と隣り合わせのこのゲームの最中に、なぜ懐中電灯なんか堂々と照らしてるんだろう?
なぜ、鼻歌なんか歌ってるんだろう?
私を見つけてくださいって言ってるようなもんじゃないか。
恐怖でアタマがイっちゃったのかな?
…いやいや、そうじゃない、そうじゃないんだ。
彼女は、自分の周りに誰もいないことがわかってるから、リラックスしてるんだ。
バトロワ好きの皆なら、ピーンと来たよね?
そう、彼女の配布武器は、対人レーダーだったんだ。
<沙霧の思考>
……ガスは、どの家もプロパンみたいですね。
まあ、ガス会社も慈善事業ではないのですから、こんな産業も未来も無さそうな寒村は黙殺なのでしょう。
水も予想通り井戸水。
トイレも汲み取り式ですし、なんて文化水準が低いのでしょう。
経済水域を広げる為だけに存在してるんでしょうね、この島は。
電気が通っているのは意外でしたが。
さて、この村で見るべきところは全部見ましたし、纏めに入りましょう。
この村で重要なポイント。それは、
1)食料品店………食料は必須
2)雑貨屋…………細かい道具やガスボンベ、若干の食料が置いてある
3)井戸……………水は必須。各家庭の蛇口は同じ水脈からのポンプ吸い上げ
4)病院……………医薬品は必要。もしかしたら毒物があるかも
この4個所ですね。
私がトラップを仕掛けるべき場所は。
次は具体的なトラップの種類を検討しましょう。
毒物が手に入ればラクなんですけどね……井戸の水源にポイって。
病院に行けばいろいろ手に入りそうなのですが、2:00頃から2人ほど居座っていますからね……
病院内の毒物のセンは、捨てましょう。
雑貨屋にあるモノだけでも毒物製作は可能ですからね。
それも、吸引→即死のとんでもないシロモノが。
あとは…ガスボンベと灯油ですね。
ガソリンの方が燃焼力が高くていい感じなのですが、この村、車の一台すら見当たりませんからね。
こんな自然以外に何も無いような島で、エコライフ気取らなくてもいいと思いますけど?
……っと、北からこっちに向かってくる人が2人いますね。
それも結構な移動速度で。
目測で約2.5kmの距離だから、この速度だと……
あと20分くらいですかね、この集落の入り口に達するのは。
行動は常に余裕を持って行わないといけませんしね。
焦りは判断を誤らせますから。
残念ですけど、トラップを張るのはまた後日のお楽しみに取っておいて、
きっかり10分だけ、雑貨屋を漁りましょう。
ええと、逃走ルートとして最適なのは……
一旦さらに南西へ向かい、海岸に沿って北上するのが、ベストですね。
<沙霧の思考、終了>
さすがは『バンカラ夜叉姫』だね。
考えることがコワいね。
でも、何が一番コワいかってさ……
彼女がこの状況を楽しんでるてことだよ。
ほら、見てごらん。
口元が片方だけ吊り上ってるだろ?
あれ、彼女の機嫌がいいときのクセなんだ……
【所持武器:対人レーダー、カビキラー、トイレマジックリン他雑貨】
【現在位置:島の南西に位置する廃村】
【スタンス:殺る気。ただし人との接触は徹頭徹尾避ける】