283 おやすみぃ……

283 おやすみぃ……


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(Cルート:2日目 PM7:08 H−3地点 東の森北東部)

「ねーねーカオっさん……
 ザッちゃん無事に向こうへ行けたかなぁ……?
 もう真っ暗であたし見えないや……」

喋ると口の中に土の味がする。
そこであたしは気付いた。
ああ、あたしって今、倒れてるんだ。

《おうおう、儂がこの目でしっかり見届けたぞい。
 あやつは煙の壁を抜けよった!》

ずずっ、ずずっ、ってカオっさんは鼻でも啜ってるみたいな涙声を出す。
あははー、へんなのー。
カオっさんには鼻なんて無いのにねぇ。

そうそう。
カオっさんにもお世話になったよねぇ……
カオっさんがいなきゃかーもドラコンは撃てなかったし。
死んじゃう前にお礼だけは言っとかないと。
ん?
あ、そーだ。
いいこと思いついちゃった♪

「カオっさん、ありがとーねー。 おっぱいぎゅー!」
 



あたしはカオっさんを両手で抱いて、おっぱいの谷間に埋めてあげた。
女豹のポーズすら取れないあたしに出来るお礼って、このくらいだしー。

《カモちゃん……》

カオっさんはまだ涙声。
あれれ?
嬉しくないのかなー?
それともあたしが死んじゃうのが、そんなに悲しいのかなー?

ぶぅう。それって嬉しいけど、でも、なんかヤだー。

「ね。笑ってよカオっさん? 折角のお礼なんだもん、楽しんで欲しいな」
《……げへへへへ。(;´Д`)o彡゚ おっぱい…… おっぱい……》

剣士が剣を抱いて死ぬ、か。
ちょっと絵になる風景じゃない?

でもよかったー。
カオっさんが居てくれて。
ザッちゃんを脱出させる為に命を張ったのは後悔してないけど、
やっぱり一人って淋しいし、怖いし。
看取ってくれる人がいてくれるって、それだけで救われる。
だから大丈夫。
きっと笑ったまま逝ける。

でも……
 



「あの…… ひとつだけお願い、いいかな……?」
《おうなんじゃ? 今ならなんだってきいてやるぞ》

死んだ後のことなんて気にしても仕方ないのかも知れないけど。
きっと意味の無いお願いなんだけど。

「あたしがいたってこと…… 忘れないで…… ね……」

あのね、あたし、死ぬのはそんなに怖くないんだぁ。
やっぱり武士だし。
いっぱい殺したし。
そのうち自分の順番が来るっていうのは、ずっと覚悟してたし。

でも、あたし、淋しがりやだから。
怖がりだから。
あたしをお友達って思ってくれる誰かさんの心の中に、
ほんの少しでいい。
あたしの記憶を住まわして欲しいのね?

ぱつきんのばいんばいんを見たらあたしを思い出すとか、
先祖供養のついでにあたしにもなんまいだーしてくれるとか、
そんなんでじゅーぶんだから。

《そんなの、頼まれても忘れられんわ!
 おまえさんほどのぱっつんぱっつんのむっちんむっちんはの!》

うれしーな。
カオっさんの心の中に、あたしがいるんだ。
 



うん、これでもう大丈夫。
あたしがこの世界から消えても、あたしはこの世界に残る。

出来ればザッちゃんの心にもちょっとは残ってて欲しいな……
なんて、未練未練。
カモちゃんさんはモノノフなんだから、潔く逝………













《カモちゃん?》






……かないと。
 
 
 



あれ? 今、何かがちょっと飛んだ?

なんか、あたまのなか
白くなってきた?


《 お  モ  ?》


と、いうより、


時間?

考え、途切れ



途切れに


なってきてる?


ああ、そろそろなのかなぁ。

もう、

終るのかなぁ……
 



じゃあ、

さいごのあいさつくらいは、

キチンと、

しておかないと……


……ね。





みんな

おや、



す……


……




 























   =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=   



「いやぁ、死ぬかと思っちゃった☆」
 

  




「Yes。死んだかと思ったよ」
「あ、りんご剥けた?」
「Yes」

目覚めたときは天国か地獄かって思ったけど。
実際は灯台の地下にある隠し部屋のベッドの上だったんだぁ。
えへへー。

「ねぇねぇ、すりおろしてくれると嬉しいなぁ」
「ねぇねぇではない、このバカ女が!」

ザッちゃんが本気で怒ってるー。
いいもんいいもーん。
どーせザッちゃんはあたしのことなんとも思ってないんだー。
なんで助かっちゃってんのコイツ、とか呆れてるんだー。
いじけてやるー。

「いじいじいじいじ……」
「いじけるな鬱陶しい。そんな演技をする余裕があるなら回復に専念しろ」

ザッちゃんはき捨てるようにそういうと、すぐにいびきをかき始めた。
やー、ほんとよかったよねー。
2人とも助かってさー。
ザッちゃんは包帯でぐるぐる。あたしも包帯でぐるぐる。
お注射いっぱい、お薬いっぱい。
とても無事とはいえない状況だけど、命を拾ったのはめっけもんだよね?
 



「Yes。死亡の危機は乗り切ったとはいえ、君は未だ重篤な状態だからね。
 林檎を啜り次第、眠ることを推奨するよ」
 
橙色のともきんがあたしの腕に刺さっている点滴を取り替える。
ともきんたちが倒れてたあたしを救助に来たんだと、カオっさんが教えてくれた。
そのとき4機いたともきんのうち2機が、熱暴走して壊れちゃったって。
ごめんねー。
そんで、ありがとー♪
そーやってお礼を言ったらともきんは、私は私のタスクに従ったのみだとかなんとか、
らしいんだけどつまんない返事を返してきた。ぶぅう。

あ、そうそう。
お礼といえばトーコちんにもお礼を言わなきゃ。
あたしたちが入ったこの隠し部屋にたまたまトーコちんがいて、
素っちゃんの秘密のお部屋からお薬を持ってきてくれたおかげで、
あたしとザッちゃんは命を繋ぐことができたんだから。

「トーコち〜〜ん、助けてくれてありがとぉ〜♪」
「ん」

こっちはもっとつまんなかった。ぶう。
 
でも、なんかトーコちん、変わった気がする。
いつでもぼーっとしてて何考えてるかわかんない子だったけど、
今は何か悩んでるなってことがわかる程度には暗い表情をしてるし……

ま、いーや。
今は睡眠薬で頭が働いてないし。
難しいことは起きてから考えよーっと。
 










「それじゃあみんな、おやすみぃ……」



(Cルート)

【グループ:ザドゥ・芹沢・透子】
【現在位置:J−5地点 隠し部屋1】
【スタンス:待機潜伏、回復専念】

【主催者:ザドゥ】
【所持品:通信機】
【能力:我流の格闘術と気を操る】
【備考:重態、右手火傷(中)、睡眠中】

【刺客:カモミール・芹沢】
【所持品:虎徹刀身(魔力発動で威力↑、ただし発動中は重量↑体力↓)
     鉄扇、トカレフ、魔剣カオス】
【能力:左腕異形化(武器にもなる)、徐々に異形化進行中(能力上昇はない)】
【備考:重態、腹部損傷、睡眠中】

【監察官:御陵透子】
【現在位置:H−6・学校跡付近→T-5・灯台跡付近】
【スタンス:@ザドゥの回復を待ってプランナーと接触
      A紳一ら一部参加者の記録検索を再開する】
【所持品:契約のロケット(破損)】
【能力:記録/記憶を読む、『世界の読み替え』(現状:自身の転移のみ)】
【備考:疲労(小)】

 ※ザドゥと芹沢は強力な睡眠薬を服用したため、12時間は目覚めません
 ※『読み替え』実験は完了した模様ですが、現状では成果不明です
 ※レプリカ智機2機のうち1機は、オリジナル智機にクラッキングされた機体です




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