192 蒼の光、消える

192 蒼の光、消える


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(第二日目 PM12:00頃)

埋め尽くすは灰。その多くは灰色に彩られた空間。
灰以外に映るものは無垢な紅い瞳をした巨大な鯨の姿。
前方に同等の大きさの淡く光る青色の丸い水晶。
白い鯨、いや創造神ルドラサウムの周囲には
円形の鏡のような物体が無数に漂っている。

「鏡」は風景を映す。ここではない様々な風景を。
現代と近未来と中世などあらゆる時代の風景を。それらとは異なる世界……
例えば科学と鋼が支配する世界。剣と魔法の世界。
果てはぶるまーが中心の世界の風景までも映す。

ここは創造神が創りし世界のひとつ。

「鏡」は彼が異世界を観賞し、時には干渉し、時にはその世界の
生きる者、又は物品をこの世界に召喚する為の「門」。

「水晶」は彼の力を蓄える。召喚する力を使う為に。
時空の狭間にそれを留める事、その全てをそのままの形で永遠に
留める事もできる力をも持つ、例えるなら「操縦桿と動力」。
蒼の光は呼び出すための力。

この世界の近くに在る、異世界人同士での死闘が繰り広げられる島。
創造神が「ゲーム」を楽しく観賞するために創りだした舞台。
そして、ここはその為だけに創り出されたいわば「装置」。


やがて蒼い水晶は輝きを失い、透明の水晶となった。
そしてゆっくりと砕け始め、塵となりはじめる。
何故ならそれは先ほど召喚された、今の「ゲーム」最後の運営者ケイブリスと
狂気の魔剣を呼び出した時に全ての力を使い果たし、役目を終えたから。

水晶が塵になったのを見届けたルドラサウム。
その紅い瞳が笑ったように歪む。
今度は彼の前方に水晶の粒が集まり始める。
粒がくっつき始めひとつの水晶となっていく
新しい水晶はわずかに紅い光を放ち始める。
紅の光……それは帰す為の力……
蒼の水晶の様に大きくなるには……まだ時間がかかる……



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ルドラサウム
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