191 魔獣動く
191 魔獣動く
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(第二日目 AM12:10)
「さて、放送が終わったわけだが……… ケイブリス、さっそくお前の次の役目だ」
「(呼び付けたぁ、いい度胸だな) ふん、やっと、暴れられるってわけだ。 おうよ、誰を始末すればいいんだ?」
「まず、現在、首輪を外している者に関しては、再びつけるよう警告を促す。
この役目は、透子が再び行なう予定だ。
この最終警告をもってして、まだつけていない者は、我々を倒す側に回ったとして、お前に始末してもらいたい。
そして、今からやって欲しい事だが、現在、島の森地帯の中にNo.02:ランスと言う男がいる。
この男は、100%、我々に歯向かうだろう。 そして何より厄介なのが、首輪除去装置をもっている。
……一応前もって、透子を遣わしておくが、おそらく説得できないだろうな。
よって、これの奪取、もしくは破壊、そして、ランスの始末。 これが任務だ」
「今、何て言った………?」
ゾワッ。
まるで、部屋の空気が一瞬にして数度下がったようにザドゥは、身体全体に寒気を感じた。
「……ランス? 俺の聞き間違いじゃなければ、ランスだよな?」
「そうだ……… 歳は20過ぎの冒険者風の姿をした剣士だ」
「そいつの口癖は、「がはははは」とか?」
「確かに良くそう言う高笑いが聞こえてきたな…… 知り合いか?」
「………くっくっくっく、がぁっはっはっはっは!!
こんなトコで再びあの野郎と出会えるなんて!!
知ってるも何も、俺様がいた世界で、俺様の魔王になる野望を潰た野郎だ。
…………そして、俺様の最愛の女を殺した野郎さ!!」
己のプライドにかけて、ケイブリスは、決して殺された事は、言わなかった。
「そうか……… 雪辱戦と言う訳か………(なるほどな、だからこいつが選ばれたのか
私とて、もしシャドウが参加者として、この世界にいたのならば、同じように憎悪に包まれるだろう)」
「くっくっくっくっく…… 楽しみだぜ!! 今からあいつの肌を切り裂いて、肉を潰す事ができるなんてなぁ」
「一応、透子の説得が成功したら、その必要はないからな………」
ジロッとした目で、ケイブリスは、ザドゥを睨みつけた。
「ふん、その心配はねぇよ、あの野郎なら、絶対に蹴るはずだ」
冷や汗が、身体から出始そうだ。
目の前の怪獣は、今にも暴れだしそうなほど、憎悪に満ちた闘気を辺り全体に撒き散らしている。
ザドゥは、この獣の力を再び認識させられた。
いや、対峙した時に感じた物より、遥かに高い負の力を感じる。
今思えば、ケイブリスが、完全に殺気を収めなかったのも自信があったからだ。
此方がその挑発に乗り、かかっていっても、それを打ち砕くつもりだったのだろう。
(想像以上の諸刃の剣だな…… だからこそ主催にとっては、この方が楽しみが増えるのだろう)
「善は、急げだ。 早速、行かせて貰うぜ」
「そうか、念のために、言っておくが、森の中には、現在、首輪をつけていないものがNo.02含め三人確認されている。
一人は、No.2と一緒に行動しているが、此方は、戦力外のひ弱な娘だ。
ただ問題は、もう一人で、こいつは大分前に首輪が外れている。
確認したのもNo.02と接触した時のみで、どうやら不思議な術を使うらしい。 そいつには、注意するんだな」
「親切なご忠告ありがとうよ。 けどよ、どんな奴が来たって、俺様に歯が立つと思うか?
むしろ、ギタギタのグチョグチョで返り討ちよ!! それじゃぁ、行ってくっとすっか」
「気をつけろよ」
「っけ、俺様の強さは、良く解ってるんだろ? 安心して、そこに座ってな」
自身に絶大なる自信があるからこそ、ザドゥを軽く扱うケイブリス。
彼を止める方法は、ただ一つ、命懸けて戦う事。
生半可なつもりで、戦えば、ザドゥとて殺されるだろう。
そして、ケイブリスは、部屋から、校舎から出て行った。
彼が部屋から去った時、ザドゥの身体には、どっと冷や汗が流れていた。
尚、通るドアを片っ端からその巨体で壊していったため
直ぐに智機が出動させられ、応急修理していったのは言うまでもない。
【ケイブリス】
【現在地:森へ移動】
【スタンス:ランスの始末、歯向かう物を殺す】