106 本製品は使用上の注意を良くお読みになり、正しい用法でお使いください。

106 本製品は使用上の注意を良くお読みになり、
正しい用法でお使いください。


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◆ 家庭に潜む意外な危険@ ◆

家屋内の事故の約半分を占めるのが浴室の事故です。
そして、浴室の事故の中で、最も多いのがスリップ、つまづきによる転倒です。
濡れていること、石鹸やシャンプーが床面に残ってしまうことから、大変滑りやすくなっており、
毎年1万件以上の事故、100人を越える死者が報告されています。
足元には十分注意してください。


(1日目 14:15)


<事故例>

「これは……血痕か?」

少女の悲鳴を頼りに西へ西へと駆けた2人は、ゴツゴツした岩場の手前で赤い滴りを発見した。
それがポタリポタリと南のへと続いている。
壮絶というほどの量ではないが、軽傷というには多すぎる―――そんな量だった。

「誰か助けて……血が、血がとまらないの……
 怖いよ……死にたくないよ……」

と、波打ち際から聞こえて来るか細い少女の声。
姿こそ岩場のせいで見えないものの、震えている様が想像できるような、弱々しい声だった。

「声の感じだと、どうも女1人っぽいな」
「ああ、大方殺されそうになったところを、必死で逃げてきたというところだろう」

監禁陵辱魔たちはいやらしく目配せすると、少女が助けを求めている岩場に向かい、足を踏み出す。
つるり。
ごちん。
その第一歩で紳一は豪快に転倒した。

「つ… 腕を切ってしまったな」
「それにしてもこの岩場は良く滑るな、気をつけろ、紳……うわっと!」

ずでん。
言っているそばから転倒する真人。
しかし、それも仕方の無いことだ。
ただでさえ滑りやすい岩場には、素肌用ベビーオイルが満遍なく蒔かれていたのだから。

血痕を―――いや、血痕を模した食紅の雫を辿ってしまった時点で
紳一と真人は、沙霧の世界に足を踏み入れてしまっていたのだ。


◆ 家庭に潜む意外な危険A ◆

例えばサンポールとカビキラーなど、酸性タイプの洗浄剤と塩素系のカビとり剤を混ぜて使うと、
毒性の強い塩素ガスが発生し危険です。
このガスは黄緑色で空気より重く、カルキ臭いものです。
3〜5ppmの低濃度で鼻や口の粘膜に刺激を感じ、涙や鼻汁が止まらなくなったり咳が出たりします。
致死量は100〜1000ppmで、上記製剤に於いてはキャップ一杯の混合で十分発生する分量です。
換気には十分注意してください。


<事故例>

歩く、滑る、転ぶ、打身と切り傷が増える。
歩く、滑る、転ぶ、打身と切り傷が増える。

僅か20M程進んだだけで、2人の体には数多くの傷痕が刻まれることとなった。
真人はここに来てようやく歩き方のコツが掴めてきたようで、ここ数Mは転倒していないが、
虚弱体質の紳一は未だに足を踏み出すたびに転倒している。

「うぁ!」
「…ほら、デイバッグを渡しな。俺は歩くのに慣れてきたから、持ってやるよ」
「すまない真人」
「俺達は他爆装置で一心同体だからな。距離開けるわけにもいかねえもんな」

紳一は、真人にバッグを渡そうと腕を伸ばした拍子にバランスを崩し、また転倒してしまう。
地面と何度目かの衝突をした彼の尻の下で、くしゃ、と音がした。
それは今までの硬い岩盤とは違う感触を持つ何かだった。

「おい紳一、早く立てよ」

自分のバッグと紳一のバッグを両方の肩に一つずつ掛け終えた真人は、
転んだまま立ち上がる気配を見せない紳一に声をかける。
紳一は、倒れたままだ。
―――目を開いたまま、舌をだらりと伸ばして。

「紳一!?」

異変を察知した真人は、紳一に肩を貸そうとしゃがみ込み、彼の腕を引っ張る。
位置が少しずれた紳一の尻の下から、潰れた紙コップとビニール袋が顔を覗かせた。
その周囲が、微妙に黄緑色に濁って見えた。

「なんだ、これは?」

途端、強烈な刺激臭が鼻を突く。
間を置かずに、目に、鼻に、下に、喉に、猛烈な乾燥感と痛みが走る。

「ごほっ! ごほっ! ごほっ! ごほっ!」

喉が痛くてたまらないのに、咳が止まらない。
涙も、鼻水もかつて経験したことが無いくらい大量に流れる。

(まさか……毒ガス!?)



◆ 家庭に潜む意外な危険B ◆

食品乾燥剤で使われることの多い「生石灰」(酸化カルシウム)は、
水分を吸収すると「消石灰」(水酸化カルシウム)になります。
普通は商品の包装中(空気中)のわずかな水分を吸っていますが、
急激に多量の水に触れると激しく発熱してしまいます。
通常包装は通気性の関係から紙製なので破れやすく、多くの火傷事故が報告されており、
温度上昇からの自然発火、火災という事例も挙がっています。
国民生活センターの調査では、360℃まで温度が上昇することもあるそうです。
火傷には十分注意してください。


<事故例>

黄緑色の毒ガスらしき気体が地面すれすれの所に低く広がっていることに
気付いた真人は、急いで紳一の上半身を起こす。

「もう動けないの……誰か助けて……」

少女の声は止まない。
しかしもう、真人は悟っていた。
これは罠なのだと。
自分たちは、敵の用意した地雷原に誘い込まれたのだと。
ずるっ、ずでん! ずるっ、ずでん!
何度も何度も転びながら、紳一を引きずる真人。
一刻も早くこの地から逃れるため、20M以上あるスリップゾーンを逆行する。
擦り傷も切り傷も打身も、気にしている余裕はない。

ぱしゅ!
その彼の耳に、今度は南西から、炭酸飲料を開栓したときのような音が届いた。
真人はその音の方向に目をやるが、大きく隆起した岩が邪魔で何も見えない。
ぷしゅうううううううう……
その音は続いて上空へと移る。
空を見上げた真人の目に、飛来してくる影が映る。

「うおっ!」

真人はその軌跡を見極め、回避するために物体を注視する。
それは筒状のものを巻き付けた、1.5Lペットボトルだった。
下部から水を噴出している。

「がはっ、ペッ、トボトルロケット!? ごほ、ふざけたマネを……」

焦りと憤りをない交ぜに呻く真人。
しかしロケットは推進力である水を吐き切ると速度がガクリと落ち、真人が避けるまでも無く
彼の手前数Mの地点に落下した。

「狙いは、がはっ、外れた、よう、こほっこほっこほっ、だな」

ペットボトルにガムテープで巻きつけられていたのは、画鋲と硝子片。
そして、沢山の生石灰製の食品乾燥剤。
岩場に衝突した衝撃でそのうちの幾つかは包装が破れ飛び散り、幾つかは包装が擦れ、薄くなっていた。
そして―――ここは、磯。
波涛を受け、水気にぬめる岩場。
主成分である生石灰が急速過熱する条件は揃っていた。

―――狙いは外れていなかった。



◆ 家庭に潜む意外な危険C ◆

スプレー缶は、噴射剤と呼ばれるガス成分の圧力で内容物を噴射する仕組みです。
噴射剤としては、かつては不燃性のフロンガスが使用されていました。
しかし、オゾン層を破壊するという理由でフロンの使用が規制されたため、
現在では可燃性のLPガス(液化石油ガス)やジメチルエーテルなどが使用されています。
このため、加熱による破裂、爆発事故が毎年200件以上報告されています。
保管場所には十分注意しましょう。


<事故例>

じゅー……

急激に水分を吸い上げた生石灰は、消石灰へ化学変化をする。
膨大な反応熱と水蒸気を放出し、その水蒸気がまだ反応を起こしていない乾燥剤を刺激する。
そして、その乾燥剤を巻いた芯となっていたのが、
お馴染みの赤い鶏をトレードマークにした殺虫剤のスプレー缶だった。

……ぱんっっっっ!!

真人の背後で炸裂したキンチョールが、釘や画鋲を機銃掃射の様に撒き散らした。



【17番 神条真人 20番 勝沼紳一】
【現在位置:磯】
【能力制限:両者共に意識不明・重態】
【所持武器:パーティーガバメント(真人)必勝はちまき(紳一)】




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