013 お姫様とゴブリン

013 お姫様とゴブリン


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(一日目 3:30)

「よし。ここなら見つからねぇだろ。おい、降りろ」
「は、はい」
そういって、ランスは背中に抱えたユリーシャと荷物を下ろした。
ここは、校舎の近くにある森の奥、岩が盛り上がって複雑な丘を形成している、
その脇にひっそりと隠された洞窟だった。
慣れぬ徒歩での移動に疲れ切ったユリーシャと2人分の荷物を抱え、
このような時に不意を打たれては対処できぬ、と考えたランスは、
ユリーシャをどこか安全な場所に待機させておくことにしたのである。
「まったく、あの程度歩いてくたばるなんて、本当にお嬢様かよ」
ランスは、彼女が本当の王女であることを知らない。もっとも、そんな肩書きなど、
今のこの状況ではまったく無意味なのであるが。


「ご、ごめんな…さい。でも…ありがとう。命を、助けてくださって」
「ガハハハ、そうだ、もっと感謝しろ。命を助けて、
その上このランス様に処女膜をぶち抜いてもらったんだからな」
豪快に笑いながら洞窟を奥まで探索し、安全と判断したランスは、
自分の荷物を手に取ると、自分は出かけるからここで待っているように、とユリーシャに告げた。
「これから……どうされるんですか」
首輪を両手で不安げにさすりながら、ユリーシャはおずおずと尋ねる。
「他のいい女を、助けにいく。俺様の愛は、世界中のいい女全てに平等に注がれるのだ」
あえて、目に付いた男は全て殺す、とはいわない。そんなのは当然のことで、
考えるまでもないではないか。
だからユリーシャは、単純にランスの言葉を信じた。
それとも信じたのは、ランスの真っ直ぐな瞳に対して、だったのかもしれない。
そんな相互の些細な誤解には一切気づかず、ランスはガハハと高笑いをすると、
次なる獲物を物色する為洞窟を後にした



【グループ:ランス、ユリーシャ(現在別行動)】
【所持武器:斧(ランス)、弩弓(ユリーシャ)】
【現在位置:スタート地点から北に2kmほどの、森の中の洞窟】
【スタンス:女は食う、男は殺る】




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ランス
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ユリーシャ
035 自分の中で生まれつつあるその感情が世間では何と呼ばれているのか彼女は知らなかった。