A-00 000b 無題

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ヴウウーーーーーーンンンーーーーーーンンン…………
真夜中の鐘がなり、眠れるものたちは目を覚ます。
そのいずれの首にも鈍い光沢を放つ金属製の首輪がかけられている。
一人の少女が見なれぬ光景,非日常の現実に気付いたのか体を起こし,
あたりを見まわす。15メートル四方の薄暗い部屋に雑多な人々が
投げ出されるようにして身を横たえている。


パチ、パチ、パチ。
暗闇のなか、突然拍手の音が響く。皆が一様にそちらへ振り向く。
薄暗い部屋の中、そこがおそらく上座なのだろう。
一人の男が玉座のごとき豪奢な椅子に腰掛けこちらを睥睨している。
その後には四人の男が直立不動の体勢で侍っていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
(なんだろう、あの人すごく恐い。)
「お前達にはこれから殺し合いをしてもらう。」こともなげに男は言い放った。
ユリーシャは己の耳を疑った。
他の皆も今告げられたことに多かれ少なかれ衝撃を受けているようだ。
男はそれを見て、愉快そうに「フン」と笑った。


タイガージョーは黙して男の説明を聞いていた。
ここは絶海の孤島で廃村が一つあること、
ここには男とその後に控えるものを含めて45人いること、
今から一人につき一つ武器がランダムに与えられること、
首輪には爆薬がし込まれていること、
今から最後の一人になるまで戦うことなどを流暢に説明し最後にこう言った。
「最後の一人はこの私の仲間にしてやろう」と。


そこまで聞いたとき、タイガージョーはやおら立ち上がり男の言葉を遮って言った。
「この痴れ者がぁ!己のために殺し合えとは何たる傲慢!?
漢たるもの己が命のかわいさに人後に甘んじる事が出来ようか?
否、否、三度否!己の主はただ己のみ!!」
そういうが早いか、彼はその虎の瞳を炯炯と輝かせ、男に踊りかかった。
「タイガージョーとかいったか、お前は優れた使い手だ…殺すには惜しい。」
「わたしはもとより死せる身。貴様の野望。粉砕してくれる!!」
ドドドドドドドドドド
「フン!ならばしようがない…………。死ぬしかないなタイガージョーッ!」
「閃真流人応派奥義、地竜鳴動……」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
次の瞬間、タイガージョーの身体は後方へ吹き飛び、
大きな音を立ててコンクリートの壁を突き破ったところで止まった。
そして二度と立ち上がる事はなかった。
それを目の当たりにした七十八の瞳は、
得体の知れぬ男に得体の知れない恐怖を感じた。
男はそこから動いておらず、どうして虎の男が死ぬ事になったのか、
誰にも分からなかったからである。


【6 タイガージョー:死亡】

―――――――――残り 39



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DIO?
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タイガージョー
死亡
ユリーシャ
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